REPORT

作品制作のスタート


 

 

午前中に取材を終えた後は、いよいよ油やで作業開始。
銅版画を手がける近松さん。油やに銅版画用のプレス機があることも、近松さんのアーティスト・イン・レジデンスが実現した大きな要因のひとつです。国内外多くの場所でアーティスト・イン・レジデンスが開催されていますが、滞在先にプレス機があるのはとても貴重とのこと。まずは銅版をツルツルに磨くところから作業がスタートです。

 

 

シルクスクリーン作家の大舩さんは、取材を通じて使いたいと感じた透明度の高い青色を用いてグラデーション刷りしていきます。

 

外は雨が降り出しました。といっても、台風が直撃している関西のように大荒れではなく、しとしと雨です。
油やの斎藤祐子さんによると、浅間山麓の中でも特に追分は台風の影響を受けることが少ないそう。浅間山によって台風がせき止められるのかもしれません。
今日も想像したよりも穏やかな夜が訪れようとしています。あたたかい灯りがともる作業場にも、しっとりと緑を潤す雨の音や湿度が伝わってきます。

 

 

もくもくと作業をすすめるお二人ですが、時にはお互いの作業に目を向けて、談笑する場面も。近松さんと大舩さんはグループ展などで長年交流がありますが、同じ場所で作品をつくるのは初めてだそう。お互いの作業や技術を垣間見る体験は「とても新鮮でした」と口を揃えるお二人です。互いの作業の邪魔はせず、刺激を受け取り合いながら、同じ空間で別々の作品を紡いでいく。普段の作品制作には無い過程も、アーティスト・イン・レジデンスならではの面白さかもしれません。

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