滞在初日は浅間山と雲場池へ取材に
今回のレジデンスは、近松さんが9/3(月)~9/7(金)、大舩さんは9/3(金)~9/5(水)の滞在でした。
お二人とも到着当日からさっそく取材活動に出かけます。
「油やプロジェクト」代表の斎藤尚宏さんと奥様祐子さんの案内により、館内を見学した後にめざしたのは浅間山。アーティストのお二人にはそれぞれ浅間山をテーマにした4種類の版画が依頼されていて、完成作品は、シリーズ化が計画されている「浅間山麓三十六景」のうちの八景に加わります。
キャベツ畑から眺める浅間山。標高2,568mのその山は「周囲に高い山が無く、単体でドンとそびえたっている。存在感がありました」と近松さん。
浅間山には「色の幅がある」と感じた大舩さん。活発な活火山であり、森林限界もあって山肌の色が場所によって違うという山自体の特性に加え、雨が降りそそぎ、風が吹き、雲が流れ、太陽の光によって刻一刻と表情を変え、山の色が移り変わっていくことが印象に残ったようです。
道中、あまり見慣れない真っ白な花が一面に広がります。
何の花だろうと思っていると、地元の人が「蕎麦の花だよ」と教えてくださいました。さすが蕎麦で有名な長野です。その後も、いろいろな場所で蕎麦畑に出会いました。
次に向かったのは「雲場池」。鏡のような水面に周囲の木々が映り込むことから、紅葉の季節には人があふれるほどの人気スポット。この日は幸運にも観光客が少なく、ゆったりと静かな時間が流れます。池の周りをぐるりと遊歩道が囲んでいますが、そこにしゃがみこみ夢中になってシャッターを切っていたのは近松さん。「キノコ!」。そこには多種多様な姿のキノコがポコポコポコっとたくさん生えています。
大舩さんは池のほとりにある木の幹に紙を押し当ててダーマトグラフで紙に写し取る“フロッタージュ”を試みています。「現場の空気感を写し取りたい」という思いからの行動で、木の幹の形が写し取られた紙にはその場の空気感までも閉じ込められているよう。青々とした緑が水面に映り込み、涼やかな空気が吹き抜ける中、思い思いの時間が過ぎていきました。